このブログのPT論は正解が書かれている訳ではなく、割と精神論的な意味合いが強く、根底にある一つのテーマとして「ただボーっとPTするのではなく、出来る事から少しずつ頭を使って楽しんでみようよ」というものがあります。
また艦隊などの組織戦において、上記のように戦況に応じて、苦戦している部隊の援軍についたり、押している部隊を更に強化し突破を図るなど、一種の予備兵力として活動したようです。
どこへでも戦力投入出来る予備兵力というのは心強いものですが、PT戦における遊撃というのは、予備戦力という意味合いよりも、変幻自在にスタイルを変える「調整戦力」という解釈が近いと思います。
遊撃は、今までのような「役割り」「行動」「考え方」という区切り方とは違う方法で説明していこうと思います。
遊撃をご理解して頂くためには、まずPT戦におけるパニック状態と、その回復を考える必要があります。
■PTの真価はパニック状態に問われる
普段のPT戦では、タンクがタゲを受け持つとか、ヒーラーがヒールするなど決められた段取りがありますが、「誰かが死亡した」「後ろから強いMOBが加わってきた」といった不測の事態になった時、パニック状態になってしまうことがあります。
決められた段取り通りに行動することは簡単なことですが、いざパニック状態になった時こそ、キャラのスキルやステータスではなく、プレイヤー(中の人)の腕や性格が大きく影響します。
パニックになった時、PTメンバー全員に落ち着いて指示を出したり、最も弱い部分を補強したり、元凶となっている要素を取り除くなど、冷静な判断と行動が必要だということです。
つまり、予定通りの狩りは倒せて当たり前であり、想定外の事態に陥った時こそ、そのPTの本当の強さが現れるということなのです。
■パニック時に必要な事
さて、不測の事態によりパニック状態になった時、どうするのが良いのでしょうか?
1)冷静な指示
まずPTの建て直しが必要です。
「落ち着け!」とメンバー全員をパニック状態から解放することも大切ですし、「ヒーラー、タンクをヒールをして!」と指示する必要があるかもしれません。
ヒーラーは「HPが減っている人にヒールをしてしまう」という職業病のようなクセが割とあります。
しかし、極端に防御力を犠牲にしたアタッカーや魔法使いの場合、ヒールを繰り返しても追いつかないこともあります。
つまり時には「○○は見殺せ!」と指示してやる必要があるかもしれませんね。
他にも、いくつのもMOBのタゲを受けているタンクが、後衛を守ろうと走ってしまうと、全部のMOBがタンクを追いかけて走ってしまい、大変なお祭状態になってしまいます。
「タンク動くな!○○さん、後衛のタゲ取ってあげて」といった指示が必要かもしれません。
つまり、冷静な指示で全員が慌てて行動しないようにする必要があります。
2)弱い部分を補強する
新たなMOBが加わり、タンクのHPがドンドン減っているとしましょう。
「このままではヒールが追いつかず死亡してしまう」という状況になったら、ヒーラーを一人増やしてやる必要があります。
あるいは、弱体化魔法をかけてHPの減り具合を低減してあげたり、鎧魔法や盾魔法でもヒーラーを助けてあげられます。
麻痺なども有効な方法かもしれません。
治癒や弱体化、盾魔法、鎧魔法などは比較的簡単な魔法であり、魔法使いでなくても覚えやすい魔法ですから、いざという時の補強として充分に力を発揮することが出来ます。
3)戦力を集中する
複数のMOBを相手することになった場合、戦力を集中させる必要もあります。
三体のMOBを相手している時、PTメンバーがそれぞれバラバラにMOBを攻撃していると、どのMOBのタゲが他へ移ってしまうか分からず、タンクは大変苦労します。
例えば一番右のMOBを全員が攻撃すれば、他のMOBが突然他のメンバーにタゲを移すということは滅多にありませんし、各個撃破していく方がタンクへの攻撃も早く弱まっていくことになります。
つまり「右のMOBを集中攻撃」と、メンバー全員が集中攻撃するように指示することが大切です。
4)元凶を取り除く
「もうダメだ、全滅する!」と最悪の状態になりつつある場合、どうすれば良いでしょうか?
最悪の元凶を取り除きましょう。
「蘇生魔法の使える人からタゲを奪い、蘇生担当を逃がす」
「即死攻撃してくるMOBを誘導して、遠くに捨てる」
「湧きポイントから離れる」
つまり「全滅」が最悪なのであり、言い換えれば「蘇生担当が生き残ればOK」ということであり、蘇生可能な状況を確保することが大切です。
「湧きポイントから離れる」というのは、MOBが移動しない定位置である湧きポイントから離れて死亡するよう、死にそうになっているメンバーに走って移動するよう指示してあげることも大事だということです。
■遊撃とは
大雑把に説明してしまえば、通常はアタッカーとして行動しており、乱戦時などPTのバランスが崩れそうな苦戦時や、パニック状態になってしまった時に、補強すべきポイントを判断し強化したり、PT全滅が予測された時にそれを回避すべく、最悪の状況を破棄したりするポジションのことをいいます。
つまり、普段はアタッカーだけど、状況に応じてヒーラーやバッファ・デバッファ、サブタンクなど自分の役割りを変化させる調整戦力であり、PTの最終的な安全を守る人です。
■遊撃に大切なこと
PT存続の鍵を握る遊撃、それに求められることを考えてみましょう。
1)生存率が高いこと
パニックになった時、パニックを解消するために行動する遊撃は、死んでいては話しになりません。(^-^;
1秒でも長く生き続けることで、それだけPTの安全回復に寄与出来るわけです。
回避率や防御力を高くしておく必要があります。
2)器用であること
マズい状況になった時、サブヒーラーとしてヒール補強したり、盾や鎧、弱体化などのバフ・デバフで補助するなど、本職とは別のポジションに変身する必要があります。
つまり、補強活動へ切り替える判断の良さ、物理攻撃から瞬時に魔法に切り替える器用さなど、遊撃には器用さが必要になります。
3)チャットの速さ
「蘇生さん、逃げて!」「そこで死ぬな、こっちへ来い!」「右のMOBを集中攻撃!」など、的確に指示をしなければなりません。
これら指示はチャットの素早さが大切であることは言うまでもありませんね。
マクロ登録しておく方法もありますが、一度やってみて下さい、ほとんど使い物にならないことが分かります。(^-^;
「私、チャットが遅いんだよなぁ」という方は、イチイチ漢字変換しないとか、必要最低限の短い指示にする、呼び捨てで指示するなど、工夫次第で何とかなるものですよ。
4)判断の早さ
遊撃に求められる最大の要素は、これかもしれません。
「マズいかな?いけるかな?」と判断の迷いが命取りになることがあります。
間に合わなければ全てが台無し、勇気を持ってズバッと判断することが大切です。
「勝手にサブヒーラーになって手伝ったら失礼かな?」と気の弱いことでは勤まりません。
「今のは早過ぎたな」と思ったら反省して次回に活かせば良いだけのこと。
「遠慮して何もしない」と「無能で何も出来ない」は、結果は同じだと考えましょう。
5)心を強く
「判断の早さ」と似たようなことですが、心を強く持つことが大切です。
「偉そうに指示したら嫌がられるかな?」「呼び捨てにしたら失礼かな?」「指示して間違いだったらどうしよう……」そんな弱気では絶対に勤まらないのが遊撃です。
間違った指示や行動だったら後で「ごめんごめん^^;」と謝れば良いのです。
それで文句を言うメンバーなら、そんなメンバーは窓から捨ててしまえば良い。
偉そうに指揮官を気取ることも、イザという時に呼び捨てにしちゃうことも、自分が間違った判断や行動をしちゃうことも、明日良い遊撃になるために必要なこと。
それを固く信じられる自分自身と仲間こそが、確かな遊撃を育てるのです。
■遊撃の行動
実際に遊撃としてPTに参加する際の、具体的な動き方について説明しましょう。
PTの時間的な流れに沿って説明して行きます。
1)遊撃に向くポジション
タンク、アタッカー、ヒーラー、ニューカー、バッファ、デバッファなど様々にあるポジションの中で、もっとも遊撃に向くポジションはアタッカーです。
魔法使いは詠唱中にチャットが出来ないため、迅速な指示を求められる遊撃には不向きですし、単独行動をするには防御力的にも不安があります。
多くのMOBに囲まれたタンクは、サブヒーラーやデバッファになろうとしても、殴られまくっていては詠唱失敗ばかりで活動出来ず不向きです。
原則的に「ただ殴り続けているだけ」であり、タゲられている事も少なく、AGIやLUCの高いアタッカーが最も遊撃に向いているポジションであると言えます。
2)位置取り

戦闘開始の位置取りでは、上図のCの位置が遊撃に最適な位置です。
Cの位置は、アタッカーとして行動中、PT全体を見ていますし、自分の後背はタンクやヒーラーが見てくれています。
いち早く危機を察知するレーダー役として最適な位置です。
また、遊撃はパニック時に一人で行動し、危機回避をする役割りであることから、回避率が高いなど、生前率が高いキャラでもあるわけで、最もヒールを受けにくいこの位置に立つに相応しいわけです。
言い換えれば、この位置に立てる人でなければ、遊撃に向きにくいと言えます。
3)狩り開始
順調に狩りが行われている時から、遊撃の仕事は始まっています。
PTメンバー、特に後衛の背後に他のMOBが近づいていないか、常に目を配り注意する必要があります。
「○○さん、後ろからMOB来てるよ」と注意を促してPTのレーダー役となりましょう。
「弱体化かけて」「○○さんの盾が取れてるよ」など、状況によって必要な指示を行い、PTメンバーが上手く実力を発揮出来るようにします。
3)形勢不利な状況になった
新たなMOBが加わってしまったり、思いのほか相手が強い、クリティカルを連発されてしまったなど、PTの形勢が不利になってしまった時、遊撃の本領発揮です。
○ポジションを変身する
相手MOBの数が増えたり、鎧魔法が時間切れで切れたりして、ヒールが追いつかなくなってしまうことがあります。
この場合攻撃を中止してサブヒーラーとしてヒールに協力したり、鎧魔法や弱体化でダメージ量を減らしヒーラーを助けるなどします。
タンクにタゲが集まり過ぎている場合、「一体預かる」とサブタンクとして活動する方法もあります。
つまり、アタッカーとして攻撃するだけでなく、状況に応じて役割りを変えることで「粘る」わけです
○司令塔になる
複数のMOBが相手になった場合、各メンバーがバラバラに攻撃してしまうと、タゲがハネまくり、ヒーラーの負担が大幅に増えます。
「みんなが攻撃しやすい位置にいるMOB」「比較的HPが少なくなっているMOB」「魔法に反応しやすいMOB」などを優先して全員が集中攻撃するよう、「私が殴ってるMOBをみんなも殴って!」と指示しましょう。
4)危機的状況になった
善戦空しくタンクやヒーラーなど、死亡者が出てしまい、PTが危機的状況に陥った場合、最後の危機管理が必要になります
パニックになると慌ててしまい、冷静な判断が出来なくなっているメンバーも出てきます。
風魔法の使い手がいるなら、麻痺や麻痺の霧を使ってもらうよう指示したり、行けそうだと思ったら蘇生担当に蘇生を指示したり、出来るだけ良い状態に回復出来るよう指示を出します。
○MOBを捨てる
「もうダメだ、倒せそうにない」という最悪の事態になったら、PTから遠く離れたところまでMOBを誘導し捨ててしまう必要もあります。
ただし、これは上手にやらないと、他のPTや冒険者に迷惑をかける恐れがあります。
他の人に出くわしたら、安全なところへ誘導してそこで死ぬくらいの機転も必要です。
■最後に
色々と遊撃について説明してきましたが、遊撃を改めて説明すると、
「普段はアタッカーとして行動する」
「マズい状況になったら、アタッカー以外の役割りにチェンジする」
「後衛に向かったMOBのタゲが奪える技術を持っている」
「一人である程度活動出来るよう、回避などを高くし生存率を上げてある」
「司令塔として的確に迅速に指示が出せる」
といったところでしょうか?
「後衛に漏れたMOBのタゲを奪う」というスイーパーとしての役割りもあるのですが、これは遊撃の担当と言うより、アタッカー全般の担当と考えた方が良いでしょう。
他にアタッカーがいるのなら、事前に「後衛のタゲは○○さんが取ってあげてね」と決めておく方が、遊撃の立ち位置の関係から安全です。
遊撃は、普段はアタッカーで器用でカリスマ性を持っている人、と表現出来るかもしれませんし、前回「遊撃とは上位アタッカー」と説明した所以です。
「うわ、そんなスゴイ奴、そうそういないよ」と思われるかもしれませんが、逆の考え方もあります。
例えば、ギルドに新人さんが加入したとしましょう。
その新人メンバーが仮に前衛だったとしても、最初からタンクが勤まるはずもなく、必然的にアタッカーになってしまいますね。
そこでその新人さんに、例えば盾や鎧の魔法を覚えてもらいます。
治癒でも良いかもしれませんね。
「鎧が切れたら、君が鎧をかけてやって欲しいんだ」とお願いしておきます。
育ちきっていない新人さんなら、アタッカーとして大きなダメージを出すことは難しいですが、こういう役割りを提案してあげることで、PTに貢献している実感を感じてくれるかもしれません。
また、後衛が一人でヒールを連打するしかないPTも、問題解決の一つの手になります。
それを「遊撃」と呼ぶにはお粗末かもしれませんが、「ナンチャッテ遊撃」くらいにはなるでしょうし、そういう活動を繰り返すことで将来の遊撃に育ってくれるかもしれません。
遊撃を高等テクニックを持った優れたポジションと捉えず、新人の育成手段と捉える考え方です。
遊撃とは、臨機応変にスタイルを変え、的確に迅速に行動・指示する役割りであり、大変な技量と同時に勇気が必要なポジションです。
遊撃は、本人のみならず、周りのメンバーみんなの信頼と協力があって初めて育成されるポジションであることを理解し、みんなで育成する姿勢が欲しいものです。